工事請負契約書に記載すべき事項とは|建設業法第19条の必須記載項目を確認
工事請負契約書には法定の記載事項があります
建設工事を請け負う際は、口約束ではなく、契約内容を書面で残すことが建設業法で求められています。
建設業法第19条では、工事請負契約書に記載すべき事項が定められており、元請・下請を問わず確認が必要です。
契約書の内容が不十分だと、後から
- 工事範囲の認識違い
- 追加工事の費用負担
- 工期遅延の責任
- 支払時期をめぐるトラブル
といった問題につながることがあります。
まずは、自社で使用している契約書や注文書に必要事項が入っているか確認しておきたいところです。
建設業法第19条で定められている記載事項
工事請負契約書には、次の事項を記載する必要があります。
1. 工事内容
どのような工事を行うのかを明確に記載します。
- 工事名
- 工事場所
- 工事範囲
- 使用する材料や仕様
曖昧な表現は、追加工事や責任範囲の争いにつながりやすいため注意が必要です。
2. 請負代金の額
契約金額を記載します。
- 税込か税抜か
- 追加変更時の扱い
も明確にしておくと整理しやすくなります。
3. 工事着手の時期と完成時期
工事開始日と完成予定日を定めます。
工期の記載がないと、遅延時の責任が不明確になることがあります。
4. 工事をしない日・時間帯の定め
必要がある場合に記載します。
たとえば、
- 日曜・祝日は作業しない
- 夜間工事のみ
- 学校や病院で作業時間に制限がある
といったケースです。
5. 前払金や出来高払いの条件
支払方法を定める場合は、
- 前払金の有無
- 中間金の支払時期
- 出来高払いの方法
などを記載します。
6. 設計変更や工事中止があった場合の取扱い
工事途中で内容変更があった場合のルールです。
- 工期変更
- 金額変更
- 損害負担
- 算定方法
ここを曖昧にすると、追加請求トラブルの原因になりやすい部分です。
7. 天災など不可抗力への対応
台風や地震など、当事者の責任ではない事情による遅延や損害の扱いを決めます。
8. 物価変動による契約変更
資材価格の高騰などにより、
- 請負代金を見直すか
- 工事内容を変更するか
を定める項目です。
近年は特に重要性が高まっています。
9. 第三者への損害賠償
工事によって近隣住民や第三者に損害が発生した場合の負担を定めます。
10. 注文者が提供する資材や機械
発注者から
- 材料支給
- 重機貸与
がある場合は、その内容を記載します。
11. 完成確認の検査と引渡し
工事完了後の
- 検査方法
- 検査時期
- 引渡し時期
を明確にします。
12. 完成後の支払方法
残代金の支払時期や振込方法を定めます。
13. 契約不適合責任
引渡し後に施工不良や品質不適合が見つかった場合の対応です。
- 補修
- 損害賠償
- 保証保険
などの取扱いを決めます。
14. 債務不履行時の対応
履行遅滞や契約違反があった場合の
- 遅延利息
- 違約金
- 損害金
を定めます。
15. 紛争解決方法
トラブルになった場合の解決方法です。
- 協議
- 建設工事紛争審査会
- 裁判所
などを定めることがあります。
16. その他省令で定める事項
必要に応じて追加事項が求められる場合があります。
注文書・請書で対応する場合の注意点
実務では、工事請負契約書ではなく、
- 注文書
- 請書
で契約する会社も多くあります。
その場合は、基本契約書と組み合わせる方法がよく使われます。
たとえば、
- 基本契約書に、支払条件や責任分担など共通条項を記載
- 注文書・請書に、工事内容・金額・工期など案件ごとの内容を記載
そして、注文書・請書には次のような文言を入れておく方法があります。
- 注文書および請書に記載のない事項は、基本契約書の定めによる
この形にしておくことで、毎回すべてを書き直す手間を減らしながら、法定事項を網羅しやすくなります。
自社の契約書を一度確認しておきたい
建設業協会などが販売している契約書ひな形には、多くの場合、必要事項が整理されています。
一方で、自社独自の書式や古いテンプレートを使っている場合は、
- 法改正に対応できているか
- 必須項目が抜けていないか
- 注文書・請書との整合が取れているか
を確認しておくことが大切です。
契約書は、トラブルが起きたときに初めて重要性を実感する書類です。
日常的に使っている書式ほど、一度見直しておくと安心です。


