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会社設立・新会社法全般 Archive

自己株式の機動的な取得

株式が市場取引されていない会社の自己株式の取得方法

自己株式の取得の決議が定時株主総会に限定されず、臨時株主総会でも可能となりました。 また、譲渡人を指定しない方法も新設されました。

これまで、株式が市場取引されていない会社が自社の株式を自ら取得する場合(自己株式の取得。「金庫株」とも言われる)、あらかじめ必要事項を年1度の定時株主総会において決議しておくことが必要とされていたため、自己株式の機動的な取得を行う上での支障となっていました。

会社法では、自己株式取得の決議が臨時株主総会でも可能となり、譲渡人(会社に株式を売却する相手)を指定しない方法も新設されるなど、自己株式の取得方法が多様化されています。

あらかじめ指定した譲渡人からの自己株式の取得(相対取引)

これまで、株式が市場取引されていない会社の自己株式取得の手段は、あらかじめ会社に株式を売却する「譲渡人」を指定し、その譲渡人から直接株式を取得する「相対取引」という方法に限られていました。

相対取引で自己株式を取得する場合は、株主総会の特別決議(総株主の議決権の過半数を有する株主が出席し、かつその議決権の2/3以上の賛成)において、次の事項を定めて取締役(取締役会設置会社においては取締役会)に授権することが必要となります。

  • 取得する株式の数(種類株式発行会社では、株式の種類および種類ごとの数)。
  • 株式と引き替えに交付する金銭等の内容と総額。
  • 株式を取得することができる期間。
  • 譲渡人となる株主(譲渡人以外の株主は、自己を譲渡人に加えることを請求できる)。

取締役(取締役会)への授権決議は、これまでは年1度の定時株主総会で行う必要がありましたが、新会社法では、いつでも開催できる臨時株主総会でも授権決議が可能となるため、自己株式の機動的な取得が可能となります。

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議決権制限株式の活用

株式譲渡制限会社においては、これまで発行済株式総数の1/2までとされていた議決権制限株式の発行限度がなくなりました。

これまで、株式会社は議決権制限株式を発行済株式総数の1/2までしか発行できないとされていました。
会社法では、株式譲渡制限会社においては上記の発行限度が撤廃されるため、議決権制限株式の活用の幅がより一層広がります。

種類株式と種類株主総会

株式会社は、剰余金の配当や残余財産の分配、株主総会で議決権を行使できる事項などについて、内容の異なる2種類以上の株式を「種類株式」として発行できることになっています。議決権制限株式もこうした種類株式の一形態です。

種類株式を発行している会社では、次のような行為を行った結果、ある種類株式の株主に損害を及ぼすおそれがあるときは、全体の株主総会の特別決議(総株主の議決権の過半数を有する株主が出席し、かつその議決権の2/3以上の賛成)の他に、その種類株式の株主で構成される「種類株主総会」の特別決議が必要とされます。

  • 株式の種類追加など一定の事項に関する定款変更。
  • 株主割当による新株発行等。
  • 合併等の組織再編。
  • その他(会社法第322条参照)。
ただし、あらかじめ定款で種類株主総会の決議を必要としない旨を定めることも可能です。

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議決権や配当についての株主ごとの異なる取扱い

株式譲渡制限会社においては、株主総会の特殊決議により、議決権や配当について株主ごとに異なる取扱いを定款に定めることができるようになります。

これまで、株式会社では原則として出資額に応じた議決権・配当の配分を行うことになっていました。一方、有限会社では、定款に定めを置けば議決権の行使や配当などについて社員ごとに異なる取扱いができることとなっていました。
会社法では、株式譲渡制限会社においては、これまでの有限会社と同様の定めを定款に置くことができるようになります。

株主ごとの異なる取扱いと株主総会の特殊決議

株主ごとの異なる取扱いには、例えば次のようなものがあります。

  • 議決権の行使について、株式の数によるのでなく1人1議決権とする。
  • 一定数以上の株式を有する株主については、議決権を制限する。
  • 配当や残余財産の分配について、株式の数によらず株主の頭割りで分配する。

定款でこのような「異なる取扱い」を新設したり変更したりすることは、株主の権利に大きな影響を及ぼすことから、株主総会の特殊決議(総株主の半数以上であって、総株主の議決権の3/4以上の賛成)が必要となります。

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相続人等に対する株式の売渡請求

相続や合併等により会社にとって好ましくない者に株式が分散することを防ぐには

相続や合併等で株式を取得した者に対して、会社がその株式を売り渡すように請求できる旨を定款で定めることができます。

これまで、株式を譲渡制限株式とした場合でも、相続や合併等の事由による株式の移転は制限できなかったため、会社にとって好ましくない者に株式が分散することを阻止できませんでした。
会社法では、定款で定めることにより、会社が相続等で移転した譲渡制限株式について売渡請求を行うことが可能になったため、会社の経営を安定させることができるようになります。

相続による株式の分散を防ぐことで、より円滑な事業承継が可能になります。

会社が売渡請求を行う際の注意点

この制度を活用するには、次のような注意点があります。

  • 請求期限
    相続等があったことを知った日から1年以内に、株主総会の特別決議(総株主の議決権の過半数を有する株主が出席し、かつその議決権の2/3以上の賛成)を経て請求する必要があります。
  • 売買価格
    株式の売買価格は当事者間の協議によりますが、協議が整わない場合、裁判所に売買価格決定の申立てができます。ただし、申立ては売渡請求の日から20日以内に行う必要があります。
  • 財源規制
    剰余金分配可能額を超える買取りはできません。
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取締役ひとりの会社設立

取締役ひとりの会社設立が可能に

株式譲渡制限会社では、取締役会および監査役の設置が任意になり、取締役を1人のみとすることも可能となりました。
これまで、株式会社は有限会社に比べて一律に厳格な機関設計の定めがなされていました。例えば、株式会社には取締役会および監査役の設置義務、取締役3人以上の設置義務などの厳格な定めがあり、柔軟な機関設計は困難となっていました。

会社法では、株式譲渡制限会社については、最低限の機関設計のみを規定し、その他は企業の発展段階に応じて様々な機関設計の選択ができるようになっています。

会社法における機関設計のルール

会社法では、株式会社は次のようなルールに従って、機関設計を行うことになります。

  • 株 主 総 会
    すべての株式会社で必ず設置。
  • 取  締  役
    すべての株式会社で最低1人は必要。ただし、取締役会を設置する株式会社では3人以上(取締役会は取締役3人以上で構成するため)。
    (これまでは必ず3人以上必要だった。)
  • 取 締 役 会
    株式譲渡制限会社では任意設置。それ以外の株式会社では必ず設置。
    (これまでは必ず設置しなければならなかった。)
  • 監  査  役
    株式譲渡制限会社では任意設置。ただし、取締役会を設置する会社では原則設置。
    (これまでは必ず設置しなければならなかった。)
  • 監 査 役 会
    大会社(株式譲渡制限会社、委員会設置会社を除く)では必ず設置。取締役会を設置しない場合には、設置できない。
  • 委  員  会
    監査役を設置する会社では、設置できない。会計監査人を設置しない場合には、設置できない。
  • 会計監査人
    大会社では必ず設置。大会社以外の会社では任意設置。
    (これまでは、資本金が1億円以下かつ負債総額が200億円未満の場合、設置できなかった。)
  • 会 計 参 与
    すべての株式会社で任意設置。大会社以外の株式譲渡制限会社が取締役会を設置する場合、会計参与を設置することで監査役に代えることができる。
(注)大会社:資本金が5億円以上または負債総額が200億円以上の株式会社

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株券の廃止

会社法では、株券は定款に株券発行の定めがない限り発行されないことになります。

これまで、公開会社などを除くと、多くの株式会社で株券は発行されていませんでした。これらの実態を加味した平成16年商法改正で「株券不発行制度」が導入され、会社は定款で定めれば株券を発行しないことができることとされました。

会社法では、その趣旨をさらにすすめ、定款に株券発行の定めがない場合には、株券は発行されないことになります。

株券を発行する会社

会社法施行後に設立される株式会社においては、定款に株券を発行する旨の定めを置かない限り、株券を発行する必要はありません。
また、定款に株券を発行する旨の定めがある場合でも、株式譲渡制限会社は、株主から請求があるまでは株券を発行しないことができます。

既存の株券発行会社が株券不発行会社に移行するためには、定款に株券不発行の定めを置くことが必要です。会社法の施行により、当然に株券不発行会社に移行するわけではありません。

これまでの会社制度会社法
(原則) 株券発行(原則) 株券不発行
(例外) 定款で定めれば株券不発行が可能(例外) 定款で定めれば株券発行が可能
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社債の発行

株式会社のみならず、特例有限会社、合名会社、合資会社、合同会社も社債を発行することができるようになります。

これまで有限会社などでは社債の発行ができないとされており、資金調達の手段が限られていました。
会社法では、広く資金調達の円滑化を図るべく、すべての会社類型で社債を発行できるようになります。

すべての会社で社債が発行できる

会社法では、既存の有限会社が移行する特例有限会社も、社債を発行できるようになります。また、取締役会が設置されていない株式会社はもちろん、合名会社、合資会社、新会社法で新設される合同会社でも社債を発行できるようになりました。
このため、株式会社以外の会社でも少人数私募債の活用が可能になるなどのメリットがあります。

少人数私募債とは

少人数私募債は、少人数の縁故者や取引先を対象として発行する社債のことで、通常の社債に比べて?手続の簡素化、?無担保で発行可能などのメリットがあります。

これまで、有限会社などでは少人数私募債を利用できませんでしたが、会社法ですべての会社に活用の道が開かれました。これにより、少人数私募債は、中小企業の直接金融の手段として、より一層活用の幅が広がります。

なお、少人数私募債を発行するためには、

  • 社債権者が50名未満
  • 社債権者に適格機関投資家(プロの投資家)がいない
  • 社債総額を最低券面額で除した数が50未満(例えば、最低券面額が100万円の場合には社債総額が5,000万円未満)
などの発行条件を満たすことが必要です。

合併等の対価の柔軟化

会社が合併等を行う場合に、相手会社の株主に対して交付する財産(対価)の種類が柔軟に認められるようになりました。

これまで、会社が吸収合併等を行う場合に、消滅会社(合併によって消滅する会社)等の株主に対して交付される財産(対価)は、原則として存続会社(合併後にも存続する会社)等の株式に限定されていたため、対価を柔軟化すべきとの実務上の要請がありました。

会社法では、合併等の対価が柔軟化され、存続会社等の株式の他に、現金や親会社の株式等を交付することも認められます。

現金合併や三角合併も可能に

合併等の対価の柔軟化により、消滅会社の株主に金銭のみを交付する合併(現金合併)や、消滅会社の株主に親会社の株式を交付する合併(三角合併)などが可能になります。

現金合併では、組織再編の前後で株主の構成が変化しないため、会社の経営状況を維持したまま組織再編を行うことができます。また、いったん消滅会社の株式を買い取って完全子会社化した後に吸収合併の手続を進めるといった手間・コストをかける必要もありません。

「合併等の対価の柔軟化」に関する規定は、企業が敵対的買収に対する防衛策を準備する期間を設けるため、会社法の施行日の1年間から施行されています。

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簡易組織再編の範囲拡大

簡易組織再編の規模の要件が5%から20%へ拡大されます。

会社が合併等の組織再編を行う場合には、原則として双方の会社の株主総会決議が必要ですが、一定の要件を満たす場合には、存続会社等の株主総会を不要とし、取締役会決議で足りるとする簡易組織再編制度が設けられています。これまで、簡易組織再編制度を行うためには、合併に際して交付する株式が存続会社等の発行済株式総数の5%以下であることが必要でした。

会社法では、この比率が20%まで拡大されるなど適用要件が緩和され、より機動的な簡易組織再編が可能となります。

簡易組織再編を行うに当たって

  • 適用要件の緩和
    合併等の際には、存続会社等が消滅会社等の株主に対価として交付する株式その他の財産額が存続会社等の純資産額の20%以下である場合に、簡易組織再編制度を利用することができるようになります(改正前は5%以下)。
  • 株式譲渡制限会社における注意点
    株式譲渡制限会社がその株式の発行・移転を伴う組織再編を行う場合は、簡易組織再編制度は利用できません。

簡易組織再編の範囲拡大により、機動的な組織再編が可能に!

略式組織再編の導入

略式組織再編とは?

これまで、組織再編行為については原則として双方の会社の株主総会決議が必要でした。しかし、一方の会社が他方の会社をほぼ完全に支配しているような場合、被支配会社で株主総会を開催しても、支配株主の意向に沿わない決定がなされることはありません。 新会社法では、上記の理由に鑑み、一定の条件の下に被支配会社の株主総会決議を不要とする略式組織再編制度が新設されました。

略式組織再編を行うに当たって

  • 議決権の要件
    親会社(支配会社)が議決権の90%以上を保有している子会社(被支配会社)の組織再編を行う際に、被支配会社での株主総会が不要となる略式組織再編制度を利用することができます。
  • 株式譲渡制限会社における注意点
    株式譲渡制限会社がその株式の発行・移転を伴う組織再編を行う場合は、略式組織再編を利用できません。
  • 少数株主の保護規定
    被支配会社の株主は、略式組織再編行為が法令・定款違反、または不当な条件で行われることにより、不利益を受けるおそれがある場合には、その略式組織再編行為の差止め請求を行うことができます。

有限会社制度の廃止

有限会社制度の廃止

既存の有限会社は、特例有限会社制度により、会社法施行後も有限会社の商号をそのまま使用することが認められます。株式会社の商号を使用する通常の株式会社に移行することももちろん可能です。

会社法では、会社類型の選択の硬直化・規制の形骸化を踏まえて、有限会社制度が廃止され株式会社制度に一本化されました。

ただし、既存の有限会社については「特例有限会社制度」が適用され、引き続き「有限会社」の商号使用が認められるなど、これまでの規律を維持するための必要な経過措置が設けられています。
また、株式譲渡制限会社へ移行することで、株式会社の商号を使用しながら、これまでの有限会社制度に準じた簡易な規制を選択することも許容されます。

有限会社の新設はできなくなる

  • 特例有限会社制度により、既存の有限会社の規制が強化されることはない!
  • いつでも通常の株式会社へ移行することが可能!
  • 少数株主の保護規定

会社法施行後に会社を設立する場合は、特例有限会社制度は適用されないため、有限会社を新設することはできなくなります。

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特例有限会社

これまでの有限会社のままでいる場合(特例有限会社となる)には、特段の手続等は必要なく、存続期間の制限もありません。

会社法施行後も有限会社の名称と実態を変えないで会社を存続させたいというニーズに配慮して、会社法では特例有限会社制度が設けられました。
既存の有限会社は、会社法の施行により自動的に特例有限会社に移行することとなり、そのための定款変更や登記申請等は原則として不要です。また、特例有限会社としての存続期間について、特に制限は定められていません。

特例有限会社の規制

特例有限会社には、基本的にこれまでの有限会社と同じ規制が適用されますが、一部次のような相違点があります。

  • これまで50名とされてきた社員の員数制限が廃止。最低資本金制度も撤廃。
  • 新株予約権や社債の発行が可能に。

特例有限会社の法的位置付け

特例有限会社は、会社法上は株式会社となり、経過措置で「有限会社」の商号の継続使用や従前の規律の維持が認められるという位置付けになります。
会社法により、「有限会社の定款」は「株式会社の定款」に、「社員」は「株主」に、「持分や出資口数」は「株式や株式数」と読み替えられることになります。

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会社設立手続の簡素化

最低資本金制度の撤廃、類似商号規制の廃止、払込金保管証明制度の一部廃止等を含め、会社設立手続の簡素化が図られています。

近年の日本では、廃業率が開業率を上回る状態が続いており、新たな事業の創出・雇用の受け皿の確保によって経済活動の活性化を図るため、創業の支援が必要とされていました。

会社法では、上記のような観点から、会社の設立手続が大幅に見直し・簡素化されます。

会社設立手続はこう変わった

会社法で簡素化された主な手続には、次のようなものがあります。

  • 最低資本金制度の撤廃
    株式会社1,000万円、有限会社300万円の最低資本金制度は、創業促進の観点から撤廃されます。
  • 類似商号規制の廃止
    商業登記手続のうち、企業活動の広範化や登記手続の簡素化の要請により類似商号規制が廃止され、同時に類似の判断基準になっていた「会社の目的」についても記載基準が緩和されます。
  • 払込金保管証明制度の一部廃止

発起設立により会社設立をする場合、資本金の払込みについては、銀行等による保管証明書を不要とし、代わりに残高証明によれば足りるものとされます。
手続の簡素化に伴い、会社設立費用も大幅に削減されます。

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最低資本金制度の撤廃

最低資本金制度が撤廃され、資本金がたとえ1円でも会社設立をすることができます。

これまで、債権者保護等の観点から、最低資本金制度(株式会社1,000万円、有限会社300万円)が設けられていましたが、同制度が円滑な創業の障害となっているとの指摘がなされていました。
会社法では、最低資本金制度が撤廃されるため、資本金1円でも会社を設立することができます。

最低資本金制度撤廃の背景

最低資本金制度の撤廃には、次のような背景があります。

  • 開廃業率の逆転による創業円滑化の必要性。
  • ネットビジネス等、少額資産で営業可能な業種の拡大。
  • 債権者保護のためには、設立時の出資金である資本金の額よりも、会社の財産状況の適切な開 示、会社財産の適切な留保等の方が重要であること。
  • 取引先の信用判断においても、「過去の実績」や「業界の評判」が重視される一方で、「資本金の 大小」を重視する意見は少ないこと。
  • 「最低資本金規制特例制度」(いわゆる「1円会社」制度)が、新事業創出に一定の効果があったこと。

上記の「最低資本金規制特例制度」は、事業を営んでいない個人が、創業者である旨の経済産業大臣の確認を受けた場合、創業後5年間は最低資本金規制の適用を猶予されるというもので、「新事業創出促進法」の改正で導入されました(平成17年4月からは「中小企業の新たな事業活動の促進に関する法律」が根拠法令)。

平成15年2月の制度実施以来、本特例制度を利用して設立された会社(いわゆる「確認会社」)は27,218社、うち資本金1円の会社は1,259社に上っています(平成17年8月5日現在)。

会社法の最低資本金制度の撤廃に伴い、上記「最低資本金規制特例制度」も廃止されました。
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既存の「確認会社」(1円会社)の扱い

最低資本金規制特例制度を利用した「確認会社」は、新会社法施行後、既存の「確認会社」は、5年以内に資本金を積み増す必要はなく、毎年行っていた経済産業大臣への書類提出も不要となりました。

これまで、最低資本金規制特例制度によって経済産業大臣の確認を受け、最低資本金規制を免除された「確認会社」は、5年以内に最低資本金(株式会社1,000万円、有限会社300万円)以上の増資を行うことや、毎年経済産業大臣に計算書類を提出することなどが必要でした。

会社法では、最低資本金制度の撤廃に伴い本特例制度も廃止され、「確認会社」に課されていた義務もなくなります。

「確認会社」は定款変更が必要

最低資本金規制特例制度によって設立された「確認会社」は、新会社法の施行により、

  • 5年以内に最低資本金以上の増資を行わなくても解散不要。
  • 毎年経済産業大臣に行っていた計算書類提出不要。
となるなど、これまでの義務がなくなります。

「確認会社」の定款には、「設立から5年以内に資本金を1,000万円(有限会社は300万円)に増資できなかった場合は解散する」旨の定めが置かれているので、新会社法施行後にこの定めを削除する定款変更を行い、登記することが必要になります。

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既存会社の資本金の減少

既存の株式会社・有限会社も、最低資本金制度が撤廃されるので、資本金を減少させることが可能となりました。

これまで、株式会社1,000万円、有限会社300万円の最低資本金制度がありました。
会社法では、最低資本金制度が撤廃されますので、既存の会社も設立時の資本金にとらわれずに無制限に資本金を減少させることが可能となりました。

減資の手続

会社法では、従来の最低資本金制度が撤廃されます。これは、新たに設立される株式会社だけに適用されるものではなく、新会社法施行前に設立された株式会社・有限会社も、減資の手続により無制限に資本金を減少させることが可能です。
資本金の額の減少は、原則として株主総会の特別決議(総株主の議決権の過半数を有する株主が出席し、かつその議決権の2/3以上の賛成)を必要としますが、次の要件に該当する場合には、普通決議によることができます。

  • 定時株主総会の決議であること。
  • 減資額がすべて欠損てん補にあてられること(注)。

欠損てん補とは、資本金や準備金の減少により、欠損金(税法上の所得金額の計算上、損金が益金を超える部分の金額)を充当することです。資本金の減少により、剰余金がプラスになり、分配可能額が生じるような場合は、原則どおり特別決議が必要となります。

払込金保管証明制度の一部廃止

発起設立により会社設立をする場合は、「払込金保管証明」は必要なくなりました。

これまで、会社設立の際には、銀行または信託会社が務める払込取扱金融機関が、設立登記前に、発起人または株式申込人から金銭出資の払込みがなされたことを証明する「払込金保管証明」が必要でしたが、


  • 金融機関が払込取扱機関となることを引き受けてくれない

  • 手続に時間がかかる(一般的に数週間程度)

  • 費用がかかる(一般的に2万5千円程度)

  • 設立登記が完了するまで払込金を引き出せない

・・・などの問題がありました。

そこで会社法では、発起設立の場合には「払込金保管証明」が不要となりました。

発起設立と募集設立

会社設立(株式会社)には、次の2通りの方法があります(実務上は発起設立の方法が多い)。


  • 発起設立

    設立に際して発行する株式の全部を発起人が引き受ける方法。

  • 募集設立

    発起人は設立に際して発行する株式の一部だけを引き受け、残りは他の株主を募集する方法。

会社法では、発起設立については「払込金保管証明」が不要となり、代表者が作成した払込みの事実を証明する書面に、払込みがされている預金通帳の写し等を合わせてとじたものを利用することが出来るようになりました。また、一度払込みがなされれば、設立登記前でも払込金の引出しができるようになりました。

募集設立の場合は、株式申込人の保護のため、これまでどおり「払込金保管証明」が必要とされます。

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現物出資・事後設立の簡素化

現物出資する財産額が500万円以下の場合は、検査役の調査が不要となりました。また、事後設立の場合の検査役調査も廃止されました。

会社設立時に現物出資・財産引受けを行う場合や、事後設立を行う場合には、これまでは資産額の評価について客観性を保つため、原則として検査役の調査が必要とされていました。

しかし、検査役の調査には費用と手間がかかるため、中小企業には負担であるとの指摘がなされていました。

会社法では、現物出資・財産引受けを行う際に検査役の調査が不要とされる範囲が拡大され、また事後設立における検査役の調査も不要となるため、これらの制度がスムーズに利用できるようになりました。

検査役の調査がいらない現物出資・財産引受け

会社設立(株式会社)の際には、原則として金銭による出資が行われますが、その例外として現物出資と財産引受けがあります。


  • 現物出資

    動産、不動産、有価証券など、金銭以外の財産をもって行う出資のこと。

  • 財産引受け

    会社の設立を条件として、特定の財産を会社が譲り受ける旨をあらかじめ約しておく契約のこと。

現物出資や財産引受けの制度を利用することにより、会社に必要とされる財産を充実させることができますが、出資した財産を適正に評価するため、一定の場合を除き検査役の調査が必要とされます。


会社法では、検査役の調査が不要な現物出資・財産引受けの範囲が次のとおり拡大されました。

これまで会社法
財産の総額財産の総額が資本金の1/5以下かつ500万円以下財産の総額が500万円以下(資本金の1/5を超えてもよい)
有価証券取引所の相場のある有価証券市場価格のある有価証券(「店頭登録有価証券」などが追加)
専門家の証明財産の価額が相当である旨の、弁護士等専門家の証明財産の価額が相当である旨の、弁護士等専門家の証明(変更なし)

※上記いずれかの条件を満たせば、検査役の調査が不要です。

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剰余金の分配

配当は、株主総会の決議によりいつでもできるようになります。また、剰余金の分配の規定が整理され、統一の財源規制の下に置かれます。

これまで、利益の配当の回数は、通常の配当と中間配当の年2回に限られていましたが、分配可能額の範囲内で配当を行う限り、その回数に制限を設ける合理的理由がないと指摘されていました。

会社法では、利益の配当について、株主総会の決議によりいつでも行えることになります。また、配当や自己株式の有償取得等、会社財産が株主に払い戻される行為が「剰余金の分配」として整理され、統一の財源規制の下に置かれます。

決算書(計算書類等)の種類

「決算」とは、一会計期間における会社の経営成績および期末における財政状態を確認する作業をいい、そのために作成される書類を「決算書」といいます。

会社法では、株主への配当が株主総会決議でいつでも可能となるため、決算後の利益処分方法を示す「利益処分案(損失処理案)」の作成は求められなくなりますが、代わりに配当の原資となる剰余金の変動等を示すものとして「株主資本等変動計算書」の作成が必要となります。また、従来の「営業報告書」は、「事業報告」に名称が変更になります。

これまで会社法備 考
貸借対照表貸借対照表会社の財政状態(資産・負債・資本)を示す。
損益計算書損益計算書会社の一会計期間における経営成績を示す。
営業報告書事業報告説明報告用に、会社の業務・財政状況等の重要事項を記載する。
利益処分案(損失処理案)決算後に確定した利益の処分方法を示す。
株主資本等変動計算書剰余金等の変動状況を示す。
附属明細書附属明細書決算書の記載を補足する。
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